第14回英語スピーチ・コンテストの審査を終えて

審査委員長・東洋英和女学院大学 国際社会学部教授 竹下裕子

第14回かながわ小・中学生英語スピーチコンテストが、盛況のうちに終了いたしました。しばらく続いていた雨と、ぶり返した残暑の合間の、さわやかな1日となりました。入賞者にはもちろんのこと、惜しくも入賞できなかったかたがたにも、大きな拍手をお送りします。出場者の保護者やご家族の皆様、先生方やお友達には、コンテスト当日に向けて多大なサポートをいただいたことに対しまして、深くお礼申しあげます。

今年のパブリックスピーキングの課題を“In 2026, I will be...”とさせていただきました。これには、英語と異文化間コミュニケーションの教員としての私のある思いをこめました。1年ごとの成長が著しい若い人には、10年後の自分に思いを馳せることは容易ではありません。けれども、将来、やりたいことやなりたいものは何か、そしてそれを実現するためには今、来年、2年後、3年後に、何をすればいいのだろうか。。。そのように考えていただけば、10年後は遥か彼方の予想もつかない未来ではなく、自分の手で作っていくことのできる現在の延長となります。そして、次の10年間で出会う人々、助けてくれる人々、助けてあげられる人々、時間を共有する人々は、多様な背景をもった人々であろうということにも気づいてほしいと願いました。多様な社会的、文化的、言語的な背景をもった人々との相互理解は難しいでしょう。言語が違う、文化が違う、価値観や信じるものが違う人々。。。世界にはそういう人のほうがずっと多いのです。英語がすべてを解決するわけではありませんが、歩み寄りへの第一歩を開いてくれる可能性があります。10年後に向けた夢や決意はさまざまであっても、皆さんには、異なった人々をつなぐことのできる、英語という強みがあるということを忘れずに進んでいってほしいと願っています。

日本には、英語を学習する環境が整っていますが、英語を使う環境は決して豊富とは言えません。それでも10年前と比べれば、日本国内でも英語のニーズが増えてきました。10年後にはさらに増えていることでしょう。けれども、人々が日常的に英語を話すわけではない日本では、英語使用環境は乏しいのです。グローバルな未来に向かって歩いていく若い人たちを思うと、私たち大人は、英語を使う機会を提供する責任があると考えています。そういう意味で、かながわ小・中学生英語スピーチコンテストは、大人の役割を果たしていると感じています。

今日の出場者全員が、これからも英語で発信するさまざまな機会を得て、さらに英語による表現力を伸ばしていってほしいと願っています。英語をもちいて、日本から世界に向けて発信するために欠かせないことがあります。ひとつには、そうしたいと思う人がいること。もうひとつには、その人が伝えたい内容をもっていること。そして最後に、その人が伝えたい内容を伝えるためのツールをもち合わせていることです。今年のスピーチコンテストの出場者全員が、その可能性を見せてくれたことを心より嬉しく思います。

かながわ小・中学生英語スピーチコンテストは、曲田光雄実行委員長の考えに共感して集まった、審査員を含めた多くのボランティアスタッフの協力により、実施されています。ご協力くださった方々に感謝申し上げるとともに、今後、ますます多くのかたのお知恵とお力をお借りし、このコンテストがさらに盛況となりますことをお祈りいたします。


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